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私たちについて

当会の特徴

AHC(小児交互性片麻痺)は非常に稀な病気であり、患者数も少ないという事で同じ障害を持ち、同じ思いで日々生活している家族の方々と知り合いになりたいという思いから、2003年夏、6家族が集まったことがきっかけで親の会が結成されました。知名度の低さから現在でも診断がつかず、正しい治療を受けられていない方が大勢いると推測されています。各方面に働きかけをおこない、知名度の向上をはかり、一人でも多くの患者さんやそのご家族と知り合えることを望んでいます。

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AHCってどんな病気?

AHC(小児交互性片麻痺)とは

小児交互性片麻痺(AHC : Alternating Hemiplegia of Childhood)は、新生児期・乳児期より発作性に片麻痺あるいは四肢麻痺(弛緩性麻痺、ときに筋緊張亢進)が繰り返し出現する非常にまれな難病性疾患です。
1歳半以前に数分間から数日間続く麻痺発作が発症します。左右一定せず、片側で終わることもあれば反対側に移ることもあります。四肢麻痺になることもあります。また、横隔膜まで麻痺がおよび呼吸困難あるいは呼吸停止に至る場合もあります。一般的に睡眠中には麻痺は回復し、寝起き10分間くらいは麻痺が起きにくい傾向があります。
不随意運動、眼球運動異常、けいれん発作(全般性、部分性)、自律神経症状(発汗、皮膚紅潮、蒼白、呼吸困難)などを伴う事がよくあります。精神発達遅滞も高率に認められていますが、障害の程度は軽度から重度までさまざまです。発作間歇時には筋緊張低下を認めることが多く、ヒョレオアテトーゼ、ジストニア、失調などの神経学的異常を常時示すことが多くあります。
今まで、基本的に脳MRIの異常は示さず、発作時脳波でもてんかん波が認められなかった事などから確実な診断法はなく、病因は、脳血管障害、イオンチャンネル病、ミトコンドリア異常症などが想定されていました。また、微小動脈異常説が出されましたが、追試では確認されませんでした。しかし、2012年、国内外3つのグループによってATP1A3という遺伝子の新生変異が原因であると特定されました(詳細は本サイト「最近の知見」をご参照ください)。
小児交互性片麻痺と診断されているのは日本全国でおよそ100人程度といわれていますが、専門医以外にはよく知られておらず、てんかんや脳血管障害などの症状と紛らわしく、正しい診断がおこなわれにくい病気です。正確な診断がおこなわれれば日本全国で2~3倍の患者がいるのではないかと推測されています。すぐに治療法に結びつくわけではありませんが、今回のAHCの原因遺伝子特定により、臨床症状と併せ確実な診断がおこなわれやすくなると考えられます。また、ATP1A3の変異が脳と心臓に発現していることがわかっています。心電図の検査をしたことがない方は検査をした方がよいと思われます。2018年の論文によると統合失調症や自閉症なども関係があるのではないかと報告されています。

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診断基準

(1)発症年齢:乳児期~幼児期(18ケ月以前)

(2)左右いずれからも始まる発作性反復性の片麻痺発作(弛緩性、痙性、ジストニア姿勢を含む)で発症

(3)麻痺発作は進展して四肢麻痺発作に至る場合もあるし、突然四肢麻痺発作で始まる場合もある。麻痺の持続時間は通常数分から数時間、ときには数日間持続、麻痺で発生困難、呼吸停止することがある

(4)麻痺発作は睡眠で基本的に消失、数日続く場合でも寝起きには麻痺が治まっていることが多い。

(5)麻痺発作の間歇期に神経症状として、①不随意運動(ジストニア姿位やコレオアテトーシス)、②眼球運動異常(眼振、非対称性眼転位、斜視など)、③自律神経症状(発汗、皮膚紅潮又は蒼白、呼吸不全など)を認める、④筋緊張低下、⑤運動発達遅滞、⑥知的発達遅滞、⑦強直けいれん発作、⑧発達障害、⑨睡眠障害を伴うこともある。

(6)臨床検査所見:初期には頭部MRI画像には特異的異常を認めない。

(7)鑑別診断。以下の診断を否定する:もやもや病、ミトコンドリア病(MELAS、PDHC異常症など)、てんかん(トッド(Todd)麻痺)、片麻痺性片頭痛、グルコース・トランスポーター1異常症、芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素欠損症、その他の先天性代謝異常(ホモシスチン尿症、ハルトナップ病など)

(8)遺伝子検査:ATP1A3遺伝子変異(ホットスポット:D801N、E815Kで60%)遺伝子産物:Na+/K transporting ATPase alpha-3chain、遺伝子座:19q13

 

診断

Definite(確定診断):(2)を満たし、遺伝子変異が同定されたもの。

Probable:(1)から(6)のうち5個を満たし、遺伝子検査を受けていないもの。

 

参考所見

(1)片眼性の眼振や強直けいれん発作が初期症状として多い。

(2)麻痺発作時に脳波でてんかん原性異常を認めないことも多い。

(3)長時間の発作後、運動・言語・認知などに階段状の退行を認めることがある。

(4)顔面の症状が目立つことが多い(構語障害)

(5)大多数で家族歴を認めない(突然変異)

 

上記に加えて、現在、以下の小児交互性片麻痺の診断基準改訂案が議論されております。
Mikati MA, Panagiotakaki E, Arzimanoglou A.
Eur J Paediatr Neurol. 2021;32:A4-5.


必須基準
1.突発性の片麻痺エピソード;麻痺が途中で左右交互に移動したり、四肢麻痺に移ったりする
2.神経学的発達異常が背景にある
大基準
1.18か月以前の発症
2.ジストニア発作がある
3.異なるタイプの発作が独立して、あるいは一つのエピソード中に同時または移り変わりながら起こる
4.突発的な眼球異常運動、例えば眼振とくに片眼性眼振
5.ATP1A3変異
6.麻痺発作は睡眠で改善
小基準
1.てんかん発作が単独に、あるいは他の発作と合わせて起こる
2.意識変容のエピソードがてんかんとは関係なく単独で、あるいは他の発作と合わせて起こる
3.運動機能異常、例えば筋緊張の異常(特に筋緊張低下やジストニアが共存)、失調、舞踏アテトーゼ、
あるいは口の運動コントロールの問題
4.自律神経機能異常のエピソード

 

必須基準2項目に加えて①大基準3項目、あるいは②大基準2項目+小基準3項目

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予後

年齢が上がるにつれて麻痺の回数や程度は減少することが多いと思われますが、治癒する疾患ではありません。精神遅滞の幅は大きく、小学校程度の会話が可能な方から有意語がほとんど出ない場合もあります(本症患者の中には、例外的ですが大学進学者もおられます)。運動面では、半数以上の例で歩行可能になりますが、麻痺発作時には自力では全く動くことができないため、日常生活には車椅子が必要です。常時筋緊張低下が強い例では、つかまり立ちから伝い歩き程度までしか伸びないこともあります。呼吸筋麻痺により気管切開が必要になることもあります。また、けいれん重積や繰り返される麻痺発作により精神運動退行をきたす可能性や学齢期、思春期には精神症状が現れるという報告があります。

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治療

現在のところ発作を完全に止める確実な治療法はありません。欧州などで広く片頭痛治療薬として認可されている塩酸フルナリジンが、麻痺発作の頻度や強度を減少させるには経験的に有効例が多いです。しかし、治癒させることはできません。我が国では1999年に塩酸フルナリジンの製造販売が中止されたためAHC患者は個人輸入で入手せざるを得ない状態が継続しています。
けいれん発作に対しては、抗てんかん薬が大多数の症例で使用されています。ベンゾジアゼピン系、アセタゾールアミド、トピラメートなどがしばしば使用され、ある程度の効果を認めることができます。他に、フェノバルビタール、バルプロ酸、フェニトイン、エクセグランなども試されています。
確実なけいれん予防効果はなく、強直けいれん重積を呈することもあるため、その場合は、ジアゼバム、フェニトインの静注やジアゼバム座薬や抱水クロラール座薬などを使用します。それでも止まらない場合は、呼吸管理を行える体制のもとで麻酔薬(ミダゾラム、ペントバルビタール、チオペンタールなど)を使用します。また、呼吸管理が不要なノーベルバールやフォスフェニトインの有効例もあり、麻酔薬よりも前に試すべきと思われます。
精神症状に対しては抗精神薬(エビリファイ、ヒルナミン等)や漢方薬(甘麦大棗湯 等)が試されています。

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最近の知見

国内外3つの研究グループによって、小児交互性片麻痺(AHC)の原因遺伝子が同定されました。

 

――ATP1A3という遺伝子の変異が原因でした。

ひとつの研究では、7名の患者と両親でエクソーム解析を行い、7名全員にATP1A3遺伝子に新生の多様な変異を同定しました。他の患者98名でもこの遺伝子について解析を行い、少なくとも74%の例で同様の変異を同定しました。

中でも801番目のアミノ酸がアスパラギン酸がアスパラギンに変異する例は36例に認められました。次に多いのは815番目のアミノ酸がグルタミン酸からリジンに変異する例で19例に認められました。

もう一つの研究では、3名の患者でエクソーム解析を行い、ATP1A3遺伝子に新生変異を同定しました。さらに21名の患者でもこの遺伝子を解析したところ、複数の変異を同定しました。この場合も先の研究と同じ場所の変異が確認されています。

 

* 「新生変異」とは? 両親は持っていなくて、子どもが生まれる時に新たに発生した変異・・・ただし、海外の事例で一つだけ家系として遺伝している例が報告されています。

 

――ATP1A3遺伝子は細胞膜を介してイオンを出し入れするカリウム・ナトリウムポンプを作っています。

細胞表面にある酵素蛋白質で、ATPを分解したエネルギーを利用してNa+とK+を細胞内外へ能動輸送するポンプ機能に異常が発生します。「イオンチャンネル病」に似た「イオンポンプ病」

 

――ATP1A3遺伝子関連神経疾患

  1.小児交互性片麻痺(AHC)

  2.急性発症ジストニア、パーキソニズム(RDP)

  3.小脳失調・深部腱反射消失・凹足・視神経萎縮・感音性聴覚障害(CAPOS/CAOS)

  4.熱誘発性発作性脱力+脳症(FIPWE)≒小脳失調を伴う反復性脳症(RECA)

  5.早期発症てんかん性脳症(FOEE)

  6.小児期発症統合失調症(COS)

  7.緩徐進行性小脳失調症(SPCA)

最近の知見

国内外3つの研究グループによって、小児交互性片麻痺(AHC)の原因遺伝子が同定されました。

 

――ATP1A3という遺伝子の変異が原因でした。

ひとつの研究では、7名の患者と両親でエクソーム解析を行い、7名全員にATP1A3遺伝子に新生の多様な変異を同定しました。他の患者98名でもこの遺伝子について解析を行い、少なくとも74%の例で同様の変異を同定しました。

中でも801番目のアミノ酸がアスパラギン酸がアスパラギンに変異する例は36例に認められました。次に多いのは815番目のアミノ酸がグルタミン酸からリジンに変異する例で19例に認められました。

もう一つの研究では、3名の患者でエクソーム解析を行い、ATP1A3遺伝子に新生変異を同定しました。さらに21名の患者でもこの遺伝子を解析したところ、複数の変異を同定しました。この場合も先の研究と同じ場所の変異が確認されています。

 

* 「新生変異」とは? 両親は持っていなくて、子どもが生まれる時に新たに発生した変異・・・ただし、海外の事例で一つだけ家系として遺伝している例が報告されています。

 

――ATP1A3遺伝子は細胞膜を介してイオンを出し入れするカリウム・ナトリウムポンプを作っています。

細胞表面にある酵素蛋白質で、ATPを分解したエネルギーを利用してNa+とK+を細胞内外へ能動輸送するポンプ機能に異常が発生します。「イオンチャンネル病」に似た「イオンポンプ病」

 

 

――ATP1A3遺伝子関連神経疾患

  1.小児交互性片麻痺(AHC)

  2.急性発症ジストニア、パーキソニズム(RDP)

  3.小脳失調・深部腱反射消失・凹足・視神経萎縮・感音性聴覚障害(CAPOS/CAOS)

  4.熱誘発性発作性脱力+脳症(FIPWE)≒小脳失調を伴う反復性脳症(RECA)

  5.早期発症てんかん性脳症(FOEE)

  6.小児期発症統合失調症(COS)

  7.緩徐進行性小脳失調症(SPCA)

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これまでの取り組みについて

(1) フルナリジンについて

小児交互性片麻痺の完全な特効薬ではありませんが、発作時間の短縮や発作強度の減少が認められていたことから有効性が高く、長い間最良の治療薬として使用されていたフルナリジンが1999年秋より日本では使用できなくなりました。フルナリジンの日本での適用は「脳梗塞後遺症や脳出血後遺症に伴う慢性脳循環障害による諸症状の改善」であり薬効の見直し、採算性の問題、後発薬の販売開始等により製薬会社が厚生労働省へ再評価の申請を行わなかったため販売中止となってしまいました。フルナリジンの有効性を感じていた患者家族は現在個人輸入にたよらざるを得ない状況です。

そこで、日本での販売再開に向けて厚労労働省や小児神経学会へ働きかけを行いましたが、治験が行われていない為AHCに対する有効性の科学的根拠のデータがなく、販売再開は難しい状況となっています。

また、ATP1A3変異(カリウム・ナトリウムのイオンポンプの異常)に対し、フルナリジンはカルシウム拮抗薬のため、なぜ有効なのかも不明です。2017年からはD801N変異、E815K変異のモデルマウスでの治療薬の研究をしていますが、まだ新薬発見には至っていません。

 

(2) 小児慢性特定疾病・指定難病の認定

小児慢性特定疾病治療研究事業とは、慢性疾患に罹患しているお子さんの医療費の自己負担分を補助し、治療研究にも役立てる制度として1974 年度に創設され、2005 年度から児童福祉法に基づく制度になりました。そして2015 年児童福祉法の改定によって対象疾病が大きく広がり、この会の顧問医である佐々木先生の御尽力もあって、小児交互性片麻痺(AHC)も小児慢性特定疾病の認定を受けることができました。

また、指定難病についても2016年同じATP1A3の遺伝子疾患である遺伝性ジストニア(指定難病番号120)に含まれる形で認定を受ける事ができました。

 

(3)国際交流活動

2012 年の原因遺伝子が同定されてから、国際的な交流活動が広がりつつあります。2012 年10 月、アメリカから原因遺伝子を発見した研究者Kathryn Swoboda さん(UTAH 大学)、フランスからAHCIA(AHC国際家族会連合)のコーディネーター D.Poncelin さんの参加を得て、東京で初の国際交流集会を開催しました。英語で専門用語の飛び交う中、通訳の方に御苦労をおかけしながらなんとか成功させることが出来ました。それ以降、病気の紹介ページでも述べましたが、これまで研究者による三回の国際シンポジウムが持たれ、家族会としても年一回の全体会に D.Poncelin さんに参加して頂くなど、国際的な交流活動が始まりました。AHCIA のウェブサイトには、日本も含め世界32ヶ国でのAHC患者会や家族会の活動が紹介されており、本会としても国際的にはJAFA(Japanese AHC Family Association)として、会の役割の中に国際担当を設けて交流活動を開始してきています。2017年9月、第6回ATP1A3遺伝子関連疾患国際シンポジウムが東京で開催され、当会も国際交流会に参加しました。

 

(4)会報の発行

年2回会報を発行し、親の思い、患者の普段の過ごし方などを載せており、会員同士の交流に役立っています。患者の年齢幅も大きくなってきている中で、先輩の親から後輩の親へなど参考になることも多く、会内部では発行が待ち遠しいものになっています。会内部の交流誌なので外部への配布は行っておりませんが、今後外部向けの広報も検討していく必要があります。

 

(5)全体集会

年1 回、顧問医師の佐々木先生や、この病気に関心を寄せていただいている医師の方を囲んで全体集会を行い、意見交換や情報交換をしています。現在は、関東と関西で隔年開催をしてきています。少ない会員が全国に点在している状況ですので、なかなか会員間の交流もままなりませんが、なんとか年一回の集まりを維持してきました。居住の近い会員同士での交流、情報交換などは随時取り組まれています。

 

(6)病気に関するパンフレットの発行、配布

AHCの知名度を高め、一人でも多くの患者とつながっていくために、病気を紹介し家族の思いをつづったパンフレットを発行しました。全国の小児神経科医などに配布し、活用してもらえたらと考えています。関心のある方は連絡していただければ送付させていただきます。

お問い合わせ

小児交互性片麻痺 親の会(AHCの会)

英語名称:Japanese AHC Family Association(JAFA)

代表 横井 百代

email : masato2002momo0309@gmail.com

 

名誉顧問

社会福祉法人 鶴風会東京小児療育病院

院長  佐々木征行先生

 

顧問

NCNP病院 国立精神・神経医療研究センター

脳神経小児科 医長 馬場信平先生

〒187-8551

東京都小平市小川東町4-1-1

Tel : 042-341-2711(代)

Fax : 042-344-6745(代)

E-mail: sbaba@ncnp.go.jp

各国の家族会連合(AHCIA)

ホームページアドレス:

http://ahcia.org

 

フランス家族会(AFHA)

Association Francaise Hemiplegie Altemante

Mr.Rémi ORHANT - President

6 Rue Madeleine Caze

78440 ISSOU-France

email : orhant.remi@orange.fr

もしくは

afha@afha.org

        

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